ポケモン剣の感想(ネタバレ注意)

 ポケモン剣でストーリーをクリアしたので、ひとまず感想を書いておこうと思う

 

 ちなみに、ソウルシルバー以降のポケモンシリーズは遊んだことがない(強いて言えばポケモンGOを少し遊んだくらい)。その上、ダイヤモンドパール以降に登場したポケモンスマブラで登場したポケモンくらいしか知識がない、そういった状態でのプレイとなった。

 

購入のきっかけ

 購入したきっかけは、ネット上で話題になっていたから、ニンテンドーカタログチケットでお得に購入できるから、3Dのフィールドを歩きまわれるようになったことを知ったからの3つ。

 ネット上で話題になっていたのはTwitterなどを登録している方なら目にしていると思う。フォローしている方々の多くが遊んでいて、以前からポケモンのキャラクターには度々「かわいい」「かっこいい」と思えるキャラクターが多くいたので、そういう部分でも楽しみたく購入。

 カタログチケットはFE風花雪月を以前から「いつか買おう」と考えてはいたものの、買う機会を逃していた。沼にはまりそうであえて避けていたこともあるが、上記のチケットでお得に共に購入できるのであれば、ということでもある。

 3Dフィールドに関しては、今までのポケモンとは違うワクワク感があったため。3DSまではGB時代のような見下ろし型の地形を移動していたのだが、歩くのが遅いく、マップグラフィックが基本的に変わっていない(あえてそうしていた部分もあるとは思う)いう印象が拭えなく、それが今回はグラフィックが大幅に変わって街や自然をキャラで駆け回れる!と知って、気持ち良さそうだと思いそこを楽しみに購入した。

 

 ちなみに、ソウルシルバー以降のポケモンをプレイしていなかったのは、基本的な戦闘やゲームのシステムが変わらないというのが主な要因。ポケモンの主なコンテンツの1つにポケモンバトルがある。通信対戦にハマる方々がいるくらいには奥深いというのはわかるが、「選択肢4つの技の中から相手に最も効果がある技を選び繰り返す」というのがポケモンの戦闘という印象があり、最適解を見つければあとは作業となるというのがどうにもそこにハマれそうにない印象だった。通信対戦で勝ちたいと思うと、それぞれのポケモンのステータスを覚えて、努力値を貯めるために同じポケモンと何度も倒して、最適なポケモンを取得するには卵を何度も孵化させて…とやることがあまりにも多かったことも大きい。

 

 

演出が凄い!

 ジム戦の最後の一匹が相手になったときの観客席の盛り上がりや、巨大マックスの技がど迫力、などなどHD機で綺麗に見えることもあるだろうけど、遊んでいてワクワクした。

 他のポケモントレーナーたちが立ちはだかるのはゲーム上では障害の一つとして設けてあり、プレイヤーに達成感を与えている。しかしジムリーグはこのポケモンの世界の中では大きなコンテンツであり、そこに人生を捧げている人達がいるんだと想像できると想像できるようになったのは凄く、自身の中のポケモンという作品に魅力に溢れたと思う。

 

チュートリアルが上手く設計されていた。

 最初の対戦相手として出てくる「ウールー」という羊のポケモンを倒すとレベルアップをして、新しいわざを覚える。ヒバニーを自分は選んだのでほのおタイプのひのこを覚えたのだが、この後に出てくるのがサルノリというくさタイプのポケモンとなる。

 ・たいあたりとなきごえしか覚えていない状態で倒す

 ・レベルアップで属性技を覚える

 ・新しく覚えたわざで攻撃しようとプレイヤーに思わせる

 ・弱点属性について自然に覚えてもらえる

というように、プレイヤーのアクションを誘導してシステムの学習をしてもらえる仕組みになっているのには凄く感心した。ライバルであるホップや、チャンピオンとして登場するダンテに解説させずに、プレイヤー自身に学習させてしまうというのはなかなか難しいと思う。

 最初に御三家のポケモンモンスターボールから出た際に、いろいろ遊び回るのだがそのあたりでもタイプでの有利不利が暗示されていて面白かった。

 

物語の運びが以前とは違っていた

 最初に書いてある通り、自分はソウルシルバー以降はプレイしておらず、「金銀」「ルビーサファイア」「ファイアレッドリーフグリーン」「ソウルシルバー」のプレイ経験がある。なので「最初はポケモン博士からポケモンをもらう」「途中で悪の組織との対決が起こる」「ライバルとは忘れた頃に出くわして勝負をする」というイメージがあったのだが、今回それらは起こらなかった。最初にポケモンを貰うのはチャンピオンだし、完全に悪といえるような組織も登場せず、ライバルとは毎日顔を合わすような状態で、とても新鮮だった。以前のポケモンがどうなのかはわからないが、マンネリを防ぐことがされているのはとても嬉しかった。

 

キャラクター

 キャラクターがこんなにも積極的に物語に介入するようになったのは、初めてで新鮮だった。

 しかし、自分が捻くれているからかもしれないが、登場人物全員が「いい人」であったのがどこか気になった。以前はロケット団やナナシマなどに出てくる暴走族など、「悪い人達」や「反社会勢力」がいたが、今回は明確にそういった敵役は存在しなかった。強いて言えば委員長やガラルの王族がそれにあたるのだろうが、委員長は彼なりの将来に問題を先送りにしない方法をとっただけであり、明確に社会を悪意を持っていたわけではなかったように思う。王族は主に髪型と口調のせいでギャグ要素がだいぶ強く、悪役になりきらなかったように思う。しかし自分達に都合の悪い歴史だから修正してもらうぞと主張し襲いかかってくる部分は、悪役だと思う。

 書いていて気がついたが、今作は明確に敵意を持つキャラはおらず、「他者のための行動が結果として迷惑となってしまった」キャラが主人公の障害として立ちはだかっている状況が多かったように思う。ポケモンの悪役はロケット団やマグマ、アクア団くらいしか具体的なことはわからないが、これはこれで悲しいように思う。

 以下は特に印象に残ったキャラクターを個別に書く。

 

ホップ

 物語の初めから終わりまで共に行動をするライバルのホップであるが、個人的にはもうちょっとおとなしくしてくれると嬉しい印象でだった。前向きでチャンピオンに向けてひたすら突き進むのは元気で頼もしくはあるが、盲目的な部分があり、負ける可能性を考えているのだろうか、チャンピオンである兄との勝負に勝利したらどうするのだろう、などいろいろ思いはした。表にはだしていないだけだろうか。

 また、どうにも彼に主人公が引っ張ってもらっているようで、冒険をしているという感じがあまりせずワクワク感が減ったように思う。ゲームの都合上、先導するような何かがあるとプレイヤーにどうすればいいのか理解してもらいやすいのだろうが、「誰かに引っ張ってもらう冒険」というのは果たして冒険といえるのだろうかと思った。しかし、今作の物語は冒険というより、チャンピオンを目指す物語といったほうが適切なのだろう。子供から大人まで、全世界で展開されているゲームシリーズなので常にわかりやすくというのは大事で、だからこそ彼や他のライバルたちが何度も助言をくれる仕組みになったのだろう。

 それと、結構この子主人公してるよなあとも思った。ポケモンチャンピオンを目指すという時点で主人公してる部分はあるし、兄がチャンピオンだから余計にそう思った。彼もビートに負けた後やチャンピオンになれたかったと挫けた後に精神的に成長していくのもまさにそれだった。伝説の強いポケモンを生身で正気に戻すというのも主人公補整がないとできないようなことだと思う。

 今作の物語は上記でも書いたように、ポケモンチャンピオンを目指す物語なのだから、当然主人公以外にも目指す人は大勢いる。頂点を目指す内の1人として、ポップや主人公がいる。そういった広がりも感じられるキャラクターになっていたのだと思う。

 とにかく突っ走りすぎて危なっかしい部分はあるが、作中では結構彼に助けられている人はいそうではある。

 蛇足ではあるが、主人公を女の子にしたのでイケイケ男子に引っ張ってもらう彼女みたいに見える部分がちらほらあって爆発してほしかった。主人公が喋らないキャラだからか、操作してるキャラだからか、うちの娘には手を出さないでくれ、とかそもそも彼氏持ちの操作キャラとか新要素すぎる、とか考えてしまった。

 

ビート

 最初はわかりやすい嫌味な少年だなという印象だった。

 最後、フェアリーのジムリーダーに捕まってからは、やけにさわやかな少年へと変わったのは何か残念だった。嫌味な性格のまま終わるというのはそれでそれで後味を引くのだろうけど、さわやかになりすぎていて戸惑いのような気持ちが未だにある。ひねくれた部分は残ってはいたが、もう少しひねくれて欲しかったように思った。立場が下なら見下して、立場が上ならそれなりの対応をするようなのは気持ちのいいことではなかったが、嫌味は無くなりつつも捻くれた部分が出たままの状態で闘ってみたかった。

 しかし、拾われた時にはなんとも言えないが「安心」に近いような気持ちになった。身寄りが無く拾ってくれたい委員長の役に立ちたく頑張って、方法には問題あったが目標ややりたいことのためなら頑張れる性格だから、根は真面目な人なんだと思う。エリート教育を受けていたようだが、そのあたりや身寄りがいない出自で気難しくなっていったのだろうか。

 

エール団

 最初は実際にこういった人たちはいるが、そういった人がモチーフなのだろうかとよく思った。他人の足を止めることで自分たちの好きな存在を持ち上げるのは実際に行われてることだから、ポケモンの世界も大変だなと思った。ポケモンはブラックな部分があるというのを何度か見たが(レジ系統、洋館関係など)、今作のこの枠はこの団なのだろうか。けど根っから悪いというわけではないからどこか憎めないという。大人が子供の足を引っ張るというのは流石に問題ではあるがそれもよくある話である。

 

 

 

ポケモン

 購入目的にもなったポケモンたちであるが、不思議生物という面が強調されている印象だった。人工的なデザインすぎる、生活するの大変なのではと思えるポケモンがちらほらいたが、そこも含めての「不思議な生き物」ポケモンなのだろう。

ロトム

 人の生活に溶け込んでいる(ポケセンのPC、自転車、図鑑など)ので、家電ポケモンかぐらいは想像できるが、それ以上はわからずにいたので少しそこの解説が欲しかった。見逃していただけなら申し訳ないが、鳥ポケモンが空飛ぶタクシーをするなどはわかるが、いかんせんロトムは応用が効きすぎて気になった。しかし、それがポケモンの世界にとっては当たり前で、何か異文化を見てカルチャーショックを覚えたみたいな感覚で面白かった。

 

 

システム関係

 今作からなのかはわからないが、プレイヤーにいかに苦労を強いずに楽しんでもらうかが考えられていたと思う。ポケモンセンターにフレンドリィショップが入っていたのが凄く便利だったし、自転車は水上も走れて、長距離移動は空飛ぶタクシーでどこからでも可能になった。秘伝技を覚えたポケモンが手持ちにいないと引き返すことになる、秘伝用ポケモンを育てずに済むというのはありがたい。個人的に空飛ぶタクシーはポケモンが人の生活に溶け込んでいる描写にもなっていて妄想が捗る部分だと思う。

 

技関係

 思い出しおじさんがいるというのが意外だった。昔はレベルが上がったら忘れたわざはもう使用できないので攻略本見ながら技を念入りに構築する必要が無くなりそうで楽になったなと思う。

 また、わざマシンが使い放題というのも意外だった。太っ腹だと思ったが、使い切りのわざレコードがあるから、強力な技をガンガン覚えさせれないようにはなってる。

 昔のポケモンをしていた人間からするとこれらは意外だったけど、昔ポケモン遊んだ時は、何故使い切りアイテムとしてわざマシンが存在するのか疑問に思っていた記憶がうっすらある。おそらくGB時代は冒険がメインなのであくまでそれへの補助ツールとしてわざマシンがあったのだろうが、インターネットのおかげで対戦ゲームとして盛り上がっている側面もあり、そこへの対応なのだろう。覚え忘れたのなら最初から育てなおすということをやっていた人間からするとたいへんありがたい。

 

 

 バトルタワーや通信対戦などのクリア後の楽しみはプレイしていないが、ストーリーを追うだけでもだいぶ楽しめた。

 ポケモンはキャラクターコンテンツとして有名な印象であるが、今作はジムリーダーのキャラクターも個性が立っていて、そういった方向でも物語が展開できるんだなとポテンシャルは見せつけられたように思う。